まだ私も若く、一人暮らしをしていた頃のことす。私はあまりお金がなかったせいもあって、少し築年数の長いアパートの2階に住んでいました。とはいえ、節約をしながらの一人暮らしは楽しくもあり、毎日バイトに明け暮れながら、快適に過ごしておりました。バイトは飲食店だったので、帰りが24時近くになることもよくありました。ある日、いつものように深夜に帰宅したわたしが玄関を開けてみると、すぐ目の前のキッチンの床が水浸しになっていました。原因を探してみると、なんとキッチンに併設された洗濯機につながった蛇口が、ポキリと折れていたのです。もちろん水はあふれ出し、キッチンから部屋がびしょびしょ。どうやら洗濯機の上の棚がこわれて落ち、下にあった蛇口を直撃したようでした。さらに大変だったのは、1階の方でした。蛇口は壁にピッタリと埋め込んでおらず、壁を丸くくりぬいた穴から少し細い管を通し、蛇口の周辺は壁紙だけだったので、水道管は壁の中の根元から折れてしまっていました。水は、事故が起きたと思われる午前中から夜中まで、ずっと壁の中を伝って1階に流れ込んでいたようで、1階の方は玄関を開けた時に水があふれ出てきたようです。被害は下の方の方が大きく、わたしは平謝りを続けました。本当に申し訳ないことをしてしまったと思っております。火災保険が適用されて私に損失はなかったのですが、大家さんとも関係も悪くなり、次の更新で退去となりました。人生に何度も起きることではありませんが、いまでもはっきり記憶に残っていて、まだ外出時には、蛇口のチェックをせずにはいられません…。